胚の凍結は非常に難しく1983年に世界で始めて凍結胚を用いて妊娠・分娩に成功しています。胚をそのまま凍結しますと細胞内に小さな氷の結晶ができ、細胞内の小器官の構造が破壊されたりします。また塩水を凍らせると水のみ氷となり塩分は塩として析出してくることと同様に、培養液の中の成分濃度が上昇し、 浸透圧の変化やpHの変化が胚に障害を与えますから、胚が損傷を受けないような特別な凍結保存液を用いる必要があります。
当院で採用しているガラス化法では、きわめて高濃度の凍結保護剤を用いて液体窒素で急速に冷却します。融けたガラスのような状態になるといわれており、氷の結晶は形成されず塩分濃度も変わらないため、細胞の損傷を避けることができます
採卵後、良好に発育したのち本法によって保存された卵を2~3周期後に移植しますが、移植当たり15~20%の妊娠率が得られます。また、凍結胚によ り分娩した児にも特に異常が多いという報告はありません。医学的にもこの技術は安全が確立されていると考えらています。